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無事帰国しました!模型実習と、カムログインプラントの信頼性の話
みなさん、こんにちは。みやかわデンタルクリニック院長の宮川宗久です。
日本全国、死ぬほど暑いですね。。。ドイツも熱波で40度くらいでしたが名古屋は同じ40度でも湿気があるので不快度は日本の勝ちです!
前回のブログでご報告した通り、フライブルク大学での研修、すべての日程を終えて無事に帰国いたしました!今回は研修最終日の模型実習の様子と、この3日間で私にとって一番の「へ〜!」だった、インプラント選びに関するお話をお届けします。ちょっと専門的な話も出てきますが、なるべく分かりやすく書いてみますね。

5. そもそも、なぜこの研修を選んだのか
本題に入る前に、少し余談を。今回わざわざドイツまでこの研修を受けに行った理由についてです。
当院は名古屋駅前という立地柄で現役世代の患者さんが多く、これまでは「1本だけ」「2〜3本だけ」といった、少数の歯を失った方へのインプラント治療が中心でした。ところが開業から長い年月が経ったのに伴い、患者さんの層も少しづつ年齢層が上がり、歯周病で多くの歯を一気に失ってしまった方や、ほぼ総入れ歯に近い状態の方から「インプラントで治したい」というご相談をいただく機会が、徐々に増えてきたのです。
今回のフライブルク大学のコースは、まさにこの「歯がほとんど残っていない状態」に特化した内容でした。私の使っているカムログインプラントは他社のオールオン4などのコンセプトは元々推奨していないシステムでしたが、最近は新たなパーツが国内にも導入され、ようやく多数歯欠損にも充分に対応できるようになってきました。そこで治療計画の立て方から、ガイドを使った正確なインプラント埋入、最終的なお口全体の被せ物まで、一気通貫で学べる貴重なコースは自分のニーズにあっていると感じました。当院に来てくださる患者様の傾向を考えると、まさに「今」受けるべき研修だったなと感じています。
少し余談ですが、フライブルク大学、日本ではあまり知名度が高くないかもしれません。ですが実は、この大学出身のノーベル賞受賞者は20人を超えていて、これは日本全体の歴代ノーベル賞受賞者数(29人)に匹敵する規模です。しかもその大半が医学・生理学賞や化学賞。つまり、それだけ医学・生命科学の分野で世界トップクラスの研究拠点だということです(エアコンはオペ室しか無かったけど)。そんな大学の教授から直接指導を受けられたというのは、あらためて振り返るとかなり贅沢な経験だったなと思います。


6. 研修最終日:模型を使った実践トレーニング
前日にコンピューター上(SMOP)で立てたプランをもとに、実際の模型にインプラントを埋め込んでいくハンズオン実習を行いました。
「模型だから楽勝でしょ?」と思われるかもしれませんが、これが意外と侮れません。実際の骨の硬さや難しい角度を再現したリアルなモデルが用意されていて、プラン通りの角度・深さでドリルを入れ、インプラントを埋入するところまでを一気にやり切る必要があります。専用のピンで角度を何度も確認しながら、隣のインプラントとまっすぐ平行にそろえていく作業は、パソコン上では簡単そうに見えても、実際に手を動かすとなるとかなり神経を使いました。無歯顎のガイドは安定せずにドリルがずれやすく、補綴が入らなくなるという失敗もしました。(後に技工士のMichael Knackmussさんのお助けで修正できました)やっぱり実習は大切ですね。


7. インプラントも「たわむ」って知っていましたか?
今回の研修で、個人的に一番「なるほど!」となったのがこの講義です。
インプラントは骨に埋め込んで終わり、ではありません。その後何十年も、噛む力というかなり大きな力を毎日受け続けます。この講義では、そうした力がインプラント本体や上の部品(アバットメント)にかかったとき、実際にどれくらい・どこが変形するのかを、実測データをもとに詳しく解説してくれました。公費を使った研究のデータなので、全てのメーカーに忖度なしの結果を見ることができました。
インプラントシステムのパーツの組み合わせは、家の柱と継手をイメージするとわかりやすいかもしれません。普段は何ともない柱でも、台風や地震のような大きな力がかかったとき、継手の作り方や精度によって「びくともしない柱」とぎしぎし音がする「わずかにゆがんでしまう柱」に分かれます。インプラントも同じで、毎日の噛む力はもちろん、食いしばりや歯ぎしりのような瞬間的に強い力がかかったときに、
* バットジョイントコネクション(平面でぴったり合わせる連結方式)とコニカルコネクション(円錐状に食い込ませる連結方式)とでは、力がかかったときの応力の逃がし方や、噛んだときのわずかなグラつき・ネジの緩みやすさがまったく異なること。どんなケースにどちらを選ぶべきかについても、具体的な使い分けの考え方を教えてもらいました
* インプラントの首まわりの設計によって、力の集中の仕方が変わり、それが将来的な骨のやせ方の差につながること
内緒で設計の甘いインプラント体・アバットメントが、ロードテスト(実際に力をかけて耐久性を試す実験)で破壊されてしまっているビデオ映像やデータも見せてもらいました。継手部分がバキッと壊れる様子を目の当たりにすると、「たわみ・変形のしにくさ」というのは決して大げさな話ではなく、長く安心して使っていただくための、まさに生命線なんだと実感させられます。これらが感覚論ではなくきちんとした数値データで示されていて、非常に説得力がありました。全てのテストのデータから僕の使っているカムログインプラントは数あるインプラントシステムの中でも一番精度が高く、堅牢なインプラントシステムであると証明されていました。
25年前、まだ駆け出しの頃にデュッセルドルフへ留学していた際、ストローマンとカムログ、両方のインプラントに実際に触れる機会がありました。そのとき、口の中での器具の扱いやすさや、部品同士のつなぎ目(バットジョイントコネクション)の精度の高さに感動して、「これはカムログの方が優れているな」と感覚的に思ったのを今でも覚えています。
今回、25年前に感覚だけで「良い」と思っていたものが、力学的な変形データとしてもしっかり裏付けられていたのを見て、素直に嬉しくなりました。と同時に、感覚だけに頼らず「データとしてどう変形し、どう力が分散するか」という視点からインプラントを選ぶことの大切さも、あらためて痛感しました。

8. 「歯はなるべく残す」を、いったん手放すという選択
今回の研修を通じて、自分の治療方針にもう一つ大きなアップデートがありました。それが、ほぼ総入れ歯に近い状態の患者様への向き合い方です。
歯科医療の基本として、私自身これまで「なるべく歯を残す」ことを大前提に治療を組み立ててきました。ですが、多くの歯を失い、ほぼ総入れ歯に近いところまで来てしまったケースについては、この考え方をいったん手放したほうがいい、というのが今回の結論です。
中途半端に残った少しの歯を頑張って残し、それを支えにブリッジや部分入れ歯にすると、残った歯に想像以上の負担がかかります。結果として、そう遠くないうちにその歯もダメになってしまう…ということは臨床で体感しています。それよりも、思い切って全部の歯を抜き、インプラントでしっかり連結して固定する被せ物にまとめてしまったほうが、噛み心地や耐久性はもちろん、治療全体を通じたトータルの費用面でも、患者様にとって得になることが多い。これは講義とライブでの手術見学、両方を通じて強く実感したところです。
特に、歯周病にかかってしまっている歯については「無理に残さない方がいい」というのがはっきりしていました。歯周病の歯を土台として使い続けると、その歯自体がずっと将来のリスクとして残ってしまうんですね。「1本でも多く歯を残すことが正義」というのは、多数の歯を失ったいる場合は正解ではないかもしれません。
もちろん、すべての方に一律で当てはまる話ではありません。残っている歯の状態や、患者様ご自身のご希望を踏まえて、一人ひとりに合わせて判断すべきものです。ただ「歯を残すこと」自体が目的になってしまわないように、噛み心地・長持ちするかどうか・費用、この3つの観点から冷静に治療方針を考える大切さを、今回あらためて学ばせてもらいました。
3日間という短い期間でしたが、座学・工場見学・ライブ手術見学・模型実習と、かなり濃い内容の研修でした。最終日には、無事に修了証書もいただくことができました。
Bermont先生との再会でエネルギーをもらい、ネルソン教授・Kernen先生・Fretwurst先生・Knackmuss氏という、それぞれ違う得意分野を持つ豪華な講師陣から、いろんな角度で学べたこと。そして何より、データに基づいたインプラント選びの視点と、「歯を残すことがすべてではない」という治療方針そのもののアップデート。この2つは、増えている多数歯欠損の患者様への対応として、これからのみやかわデンタルクリニックでの治療計画にしっかり活かしていきたいと思います。


長いブログにお付き合いいただき、ありがとうございました!次回からはまた、いつもの診療にまつわる話題に戻りたいと思います。またお付き合いいただけたら嬉しいです。

みやかわデンタルクリニック
院長:宮川 宗久

次回は8月6日に更新します!

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【監修者・執筆者/みやかわデンタルクリニック 院長 宮川宗久】
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〜経歴〜
⚫︎1997年 東京歯科大学卒業 海上ビルデンタルクリニック(東京丸の内)勤務
⚫︎2002年 みやかわデンタルクリニック開設
・日本歯周病学会会員
・日本口腔インプラント学会会員
・日本審美歯科学会会員


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